日常の一コマ一ページ


 世界は私を中心に回っている。なんていうことはなく。
 人とは少し違う特技を隠し持っている。というわけでもなく。
 実は異世界からきた未確認生物です。なんてカミングアウトも当然持ってはいなくて。
 ある日突然空から人が降ってくる。という事態はまだ起きてはいない。

 何が言いたいのかというと、私はどこにでも落ちていそうな、その辺にごろごろと居るただの平凡な女子高生……だということ。おかげさまで現在進行形で日常のど真ん中を先陣切って全力で突っ走っている。

 だからといって別に日常が嫌だ、抜け出したいだなんて強く望んでいるわけではない。毎日がぬるま湯に浸かっているようで心地がいいし、こうして平和な日々を満喫出来るのは幸せなことだと思う。
 けれど、どうしても日常に浸かりすぎてどこか退屈してる自分も、確かに頭のどこかで存在している。

 存在はしている、けど。この居心地の良いぬるま湯に変に手を加えて急に温度が変わってしまうのも、ぬるま湯から出てしまうのも、どうしようも無く怖いと感じる。

 私は臆病だ。自分からは思い切った一歩が、どうしても踏み出せない。
 そうしてまた全身をぬるま湯に浸からせて甘えてしまう。このままが一番だ、そう自分に言い聞かせて。

 そんな中途半端な毎日をただただ繰り返す。だから、もう日常を無理に出ようとは思わない。だけどほんの少しで良い。ほんの少しで良いから、私の日常に色が欲しい。
 最近そう思うようになってきた。


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